記念講演会「野田宇太郎の美術散歩〜芸術の森を行く」が

開催されました

11月22日(日)に、企画展「野田宇太郎の美術散歩」の記念講演会「野田宇太郎の美術散歩〜芸術の森を行く」が

開催されました。

講師は、佐賀大学美術館の学芸員である佐々木 奈美子先生です。

佐々木先生は、東北大学大学院の文学研究科で美学・美術史学を学び、1990年新潟県美術博物館に採用され、

新潟県立近代美術館、その後、町田市民文学館ことばらんどの立上げと勤務を経て、2013年4月から

佐賀へ移られました。

同年10月の佐賀大学美術館開館時より学芸員を務めていらっしゃいます。

2000年「ナビ派と日本」展の企画及びカタログで「倫雅美術奨励賞」及び「美連協図録奨励賞」を受賞されています。

野田宇太郎とゆかり深い町田市民文学館ことばらんどにもお勤めだった佐々木先生。

今回の講演では、野田が編集者として関わった画家たちの足跡や、それらを残そうとした野田の姿勢などについて

語って頂きました。

永利図書館館長も挨拶で述べましたが、連休の中日にも関わらず、たくさんの方にご来場いただきました。

当日は、生涯学習センターや文化会館大ホールでも催し物があり、駐車場は大変混み合っていました。

皆様、無事にお越しいただけたようです。

ご参加いただいたお客様は、約30名です。

用意した机の数が足りなかったかも?と、ちょっぴりハラハラしました。

講師の佐々木奈美子先生です。

おっとりとした話し方の中にも、それぞれの画家に対する

深い知識と愛を感じました。

宮芳平(みやよしへい)や谷中安規(たになかやすのり)など、

画家たちの書簡を紹介する先生は

「ここにこんな手紙があったなんて…!」と嬉しそうでした。

こちらも「そうでしょうそうでしょう!」と強くうなずくと共に、

当資料館収蔵資料の重要性を再認識した次第です。

佐々木先生の講演では、野田が戦時中から戦後にかけて編集した「文藝」「藝林フ歩」が紹介されました。

野田は、自分の編集雑誌に載せる絵を画家達に依頼しています。

そこには、芸術家に仕事を作る→戦時下で芸術家が食べていけることを意識していたのではないかという、

編集者としての野田の姿勢が語られました。

また、野田は木下杢太郎を介して「方寸」「パンの会」を研究することで、当時を知る人たちに話を聞き、

新たに親交を結ぶようになります。

その結果、幸田文(こうだあや)や森茉莉(もりまり)などの発掘につながります。

古きを温ね新しきを知るという、編集者・研究者としての野田宇太郎を知ることができる講演でした。

開催中の企画展「野田宇太郎の美術散歩」では、

スペースの都合上、展示できなかった資料がたくさんあります。

そこで、先生の講演で取り上げられた画家について、

展示室に配置できなかった分をピックアップして、

臨時の展示コーナーを設けました。

普段はガラスケース越しにしか見られない貴重な資料です。

講演終了後、たくさんの方が間近でしげしげと

ご覧になっていました。

講演会にご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました。

「野田宇太郎の美術散歩」は、平成28年2月7日(日)まで開催中です。

会期中、展示絵画の入れ替えも行います。

皆様のお越しをお待ちしております。