企画展「野田宇太郎の美術散歩」の展示紹介@ 

11月21日(土)から平成27年度企画展「野田宇太郎の美術散歩」が始まりました。

前期展示は12月27日(日)までで、後期展示は平成28年1月5日(火)〜2月7日(日)です。

前期と後期では、挿絵原稿や手紙などの肉筆資料をほぼ全て入れ替えます。

また、雑誌などを含めた書籍も一部入れ替えをします。

野田宇太郎は、詩人、編集者、「文学散歩」の創始者としてなど、文学との関わりのなかで語られることが

多いのですが、実は、美術にも造詣が深いという一面があります。

編集者として、あるいは「パンの会」の研究をする中で、交流を深めた画家たちとのやりとりは、

書簡(手紙)という形で当館に数多く残っています。

野田は画家たちに常に敬意を持ち、彼らを深く理解していました。

今回の企画展では、野田宇太郎と交流のあった画家たちを紹介することで、野田宇太郎の新たな一面を

ご覧いただきたいと考えています。

まず今回は、展示の全体のご紹介をいたします。

展示室正面入口の様子です。

残念ながら写真では上手く撮れなかったのですが、入口の電灯パネル

(コルトン)は、木下杢太郎(きのしたもくたろう)が描いた

雑誌「朱欒(ざんぼあ)」

の表紙です。

また、正面ステージには、野田宇太郎の直筆詩稿

「十月の光の歌―木下杢太郎碑へのささやかな献詩」

を展示しています。

展示室の様子です。

今回の企画展では、野田宇太郎が所有していた挿絵の原画を、

できるだけ多くご覧いただけるように、壁面に額装で展示をしました。

この写真では、木下杢太郎、織田一磨(おだかずま)、

木村荘八(きむらしょうはち)、谷中安規(たになかやすのり)の

紹介コーナーが写っています。

奥の方に並んでいる絵は、織田一磨の原画です。

田の著書『新東京文学散歩』に掲載された挿絵です。

向井潤吉(むかいじゅんきち)、石井柏亭(いしいはくてい)、

児島喜久雄(こじまきくお)、宮芳平(みやよしへい)、

曽宮一念(そみやいちねん)の紹介パネルコーナーです。

残念ながら、この5人のうち、当館で原画を所蔵しているのは

曽宮一念だけですが、直筆の手紙や色紙など、画家本人の

息吹が感じられるものを展示しています。

高村光太郎(たかむらこうたろう)、富本憲吉(とみもとけんきち)、

鱸利彦(すずきとしひこ)、高畠達四郎(たかばたけたつしろう)、

伊藤廉(いとうれん)、須田国太郎(すだくにたろう)、

岡鹿之助(おかしかのすけ)、鈴木保徳(すずきやすのり)

らの紹介パネルコーナーです。

それぞれ、原画や書簡を展示しています。

手前に見える油絵は鱸利彦によるもので

「蘆花(ろか)の家」というタイトルです。

野田宇太郎の家の玄関に飾られていたものでした。

こちらは壁面展示コーナーです。

「新東京文学散歩の今」として、織田一磨が昭和25(1950)年頃に

描いたスケッチと同じ場所を現在の様子と比較するために、

撮影したものを並べました。

当時と変わらない場所もあれば、面影さえなくした場所もあります。

それでも、何も残っていないように見えて、よく探すと、地名や

地形に名残が見られるのが面白いところでもあります。

こちらは、「野田宇太郎の蔵書」と題したコーナーです。

野田宇太郎の蔵書の中には、とても貴重な資料が数多くあり、

現在では、一個人が手に入れることは難しいような本さえあります。

今回はその中から、美術とも関わりの深い蔵書ということで

「北斎漫画」を展示しています。

一部、本を開いているのですが、時々ページを変えていますので、

何回見てもお楽しみいただけます。

今回は、展示全体を簡単にご紹介しましたが、今後それぞれの画家や一押しの展示資料などについても、

こちらのホームページでご案内していきます。

当館所蔵の原画を、これだけ数多くご紹介するのは今回がはじめてです。

貴重な機会ですので、ぜひご覧ください。

皆様のご来館を心よりお待ちしております。