8月の展示替えを行いました〜直木賞特集〜 

8月4日(火)から、常設展の展示スペースが一部替わりました。

今回のテーマは「直木賞特集」です。

先日、直木賞の受賞作が発表され、小郡市在住の小説家・東山彰良さんが『流』(講談社)で第153回直木賞を受賞されました。

野田宇太郎文学資料館でも、受賞を記念して、直木賞の特集展示を行います。

野田宇太郎と親交のあった直木賞作家・伊藤桂一、宮尾登美子の書簡や、福岡ゆかりの直木賞作家の受賞作などをご紹介します。

宮尾登美子(みやお とみこ、1926〜2014)の書簡と葉書です。

どちらも昭和48(1973)年のものです。

葉書の方には、野田の詩集『夜の蜩』を手に入れたことと、作品の感想が

喜びとともに綴られています。

書簡の方は、受賞パーティ(おそらく太宰治賞受賞時のことでしょう)で、

野田に挨拶ができなかったことへのお詫びが書かれています。

どちらも、丁寧で、文章にも細やかな気づかいがうかがえます。

こちらは、宮尾登美子『櫂 第一部』の私家版です。

限定500部で、昭和47(1918)年に出版されました。

この本の装幀に関して、野田がアドバイスをしたことがあとがきに記されています。

見返しには、「野田宇太郎様 宮尾登美子」と、宮尾登美子直筆の栞が

貼られています。

宮尾登美子は、昭和54(1979)年、『一絃の琴』で第80回直木賞を受賞しました。

その後も多くの作品を生み出した作家であり、記憶に新しいところでは、『天璋院篤姫』の原作者といえば、

分かる方も多いと思います。

野田との交流は頻繁ではありませんでしたが、残された書簡などを見ると、野田を尊敬し慕う宮尾登美子の様子が

伝わってきます。

伊藤桂一(いとう けいいち、1917〜)は、昭和36(1961)年『蛍の河』で

第46回直木賞を受賞しました。

詩人でもあった伊藤は、野田とも詩集などのやりとりをしていました。

写真は『竹の思想』です。

直木賞を受賞した同じ年に限定300部で作成されたものです。

伊藤自身の字で献呈の栞が挟んであります。

この他にも、野田宇太郎宛の伊藤桂一の書簡も展示しています。

福岡ゆかりの作家の受賞作、

檀一雄(だん かずお、1912〜1976) 『長恨歌』、

江崎誠致(えさきまさのり、1922〜2001 )『ルソンの谷間』 です。

『長恨歌』〔昭和26(1951)年、文藝春秋社〕は、第24回直木賞を受賞しました。

『ルソンの谷間』〔昭和32(1957)年、筑摩書房〕は、第37回直木賞受賞作です。

直木賞の歴代受賞者と受賞作一覧です。

直木賞は昭和10(1935)年から年2回の選考が行われてきましたが、

該当作がない回や2名選ばれる回など様々です。

こちらはパネルにして壁面展示スペースに展示しますので、

ぜひじっくり眺めていただければと思います。

中央ステージでは、野田宇太郎直筆詩稿「哀歌―わがふるさとは筑後松崎―」を展示しています。

今回の展示はいつもより少し長く、9月20日(日)までの展示を予定しています。

ぜひご来館下さい。皆様のお越しを心よりお待ちしております。