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令和2年度企画展「碑に込めた思いー野田宇太郎と文学碑ー」展示紹介

令和2年度企画展「碑に込めた思い―野田宇太郎と文学碑―」開催中です

今年度の企画展は「碑に込めた思い―野田宇太郎と文学碑―」と題して、野田宇太郎が尽力した文学碑を中心にご紹介しています。

野田宇太郎は、近代文学の顕彰活動のひとつとして、多くの文学碑建立に携わりました。
文学碑の発起人として加わるだけでなく、建設資金を募るための趣意書を書いたり、碑に刻む文の選考や建立場所の調査にも加わるなど、文学碑建立の初期段階から深く関わりました。また、多くの新聞や雑誌で、文学碑の紹介やその碑に刻まれる文学者の解説を書きました。
野田にとって、文学碑とはただの記念ではありませんでした。文学碑とは、現在よりも未来のために作られるべきだという強い思いを持っていました。

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上の写真は、中央正面ステージで展示している野田宇太郎直筆原稿「文学散歩餘話(51) 文学碑と細道」です。「文学碑とは、その文学者の墓であり、人生の道標であるべきだ」という野田の信念や記念碑建設ブームに対する厳しい意見などが、原稿用紙7枚に渡って書かれています。
「文学散歩餘話」は、野田が昭和57年に西日本新聞で連載したシリーズのタイトルですが、全50回で終了しています。おそらく、発表されなかった第51回の草稿と思われます。

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こちらは、第1展示コーナーで展示している野田宇太郎のスクラップブックです。野田が新聞や雑誌に執筆した記事を収集したもので、開いて展示しているページには「文学者と記念碑」(東京都新聞 昭和27年9月4日掲載)や、「文学碑を訪ねて」(東京タイムス 昭和27年9月6日掲載)が貼り付けられています。
執筆記事「文学者と記念碑」では、有名作家の文学碑よりも過去の偉大な文学者の碑を建てるべきだという意見を述べています。この頃、野田は明治の文豪・森鷗外の詩碑を建てようと奔走していましたが、戦後の混乱期ということもあり、なかなかうまくいきませんでした。野田のやりきれない思いが伝わってくるような記事です。

今回紹介した展示品は、前期のみの展示です。前期展示は12月24日(木)までとなります。
当館は12月25日(金)から1月4日(月)まで休館いたします。一部展示替えを行い、1月5日(火)から後期展示を開始します。どうぞ野田宇太郎文学資料館にお越しください。
なお、1月11日(月・祝)~1月29日(金)まで臨時休館となりますので、お気を付けください(詳しくはこちら)。