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ギャラリートークを開催しました(2月13日)

令和2年度企画展「碑に込めた思い―野田宇太郎と文学碑―」ギャラリートークを開催しました

野田宇太郎文学資料館では、令和2年度企画展「碑に込めた思い―野田宇太郎と文学碑―」を開催中です。2月13日(土)、専門員によるギャラリートーク(企画展担当者による展示解説)を行いました。

ギャラリートーク2021.2.13.jpg

            (新型コロナウイルス対策のため、距離を充分に
            とっていただいた上での展示説明となりました)

野田宇太郎は、生涯で20基以上の文学碑の建設に携わりました。その中でも、昭和34(1959)年に建立された佐賀県有田町の「蒲原有明陶板詩碑」は、野田が企画・デザインをした文学碑で、野田にとって思い入れが深い碑のひとつでした。
昭和27(1952)年、文学散歩の取材で有田町を訪れた野田は、佐賀にルーツを持つ明治の詩人・蒲原有明(かんばら ありあけ:1875~1952)の詩碑がこの町にあったらどんなに素晴らしいだろうと想像します。その夢を当時の町長に話したことがきっかけで、珍しい陶板製の詩碑が建つことになりました。

スクラップブック(陶板詩碑).JPG

上の写真は、現在展示中の「野田宇太郎スクラップブック」です。野田が興味のある記事や自分の執筆した記事などを集めて貼り付けたものです。このページに貼り付けられた記事は、完成間近の「蒲原有明陶板詩碑」について書かれており、「珍しい陶磁の詩碑」と紹介されています。

この「蒲原有明陶板詩碑」が建てられた21年後、野田は二つ目の蒲原有明の詩碑建立を計画します。

蒲原有明終焉之地詩碑覚書.JPG

このノートは、現在展示中の「蒲原有明終焉(しゅうえん)之地詩碑覚書」です。野田は、詩人・蒲原有明の功績を未来に残すため、有明の著作を出版したり、佐賀に陶板詩碑を建立したりするなど、熱心に活動しました。昭和48(1973)年には、蒲原有明が晩年を過ごした鎌倉市の旧居を保存しようと奔走しますが、建物は老朽化のため取り壊されてしまいました。

それならば蒲原有明がこの地に住んだという碑を建てたいと考えた野田は、昭和55(1980)年、「蒲原有明終焉之地詩碑」の建立を計画しました。このノートには、野田が詩碑を建てるために書いた記事や関係者からの葉書などが貼り付けられています。残念ながら、この計画は実現することなく、野田は昭和59(1984)年に他界してしまいました。その後、平成22(2010)年に有明の遺族によって「蒲原有明旧居跡碑」が建てられました。

ギャラリートークでは、展示しているキャプション(説明書き)だけでは伝えきれないエピソードなどもご紹介しています。

今企画展最後のギャラリートークを2月23日(火・祝)14時から開催します。予約等は不要です。どうぞ、野田宇太郎文学資料館までお出かけください。