記念講演会 井上洋子さん「歩く人たち ―鷗外、杢太郎から野田宇太郎へ」を開催しました
2月8日(土)、野田宇太郎文学資料館令和6年度企画展「野田宇太郎推し物語~すべては人生の師・木下杢太郎のために~」記念講演会を開催しました。
今回は、日本近代文学がご専門で福岡国際大学名誉教授の井上洋子先生をお招きして、「歩く人たち―鷗外、杢太郎から野田宇太郎へ」という演題でご講演いただきました。
(講師:井上洋子先生)
(講演会の風景)
野田宇太郎と木下杢太郎との出会いから、戦時中の出版業界を取り巻く環境、軍部の顔色を見ながらも戦時中唯一の商業文芸雑誌を編集・発行し続けた野田の強い意志、木下の死去をきっかけとした戦後の野田の文芸復興運動と文学散歩、演題のタイトルとなる「歩く」という言葉に含まれた意味など、たくさんのお話をしていただきました。
井上先生は、木下杢太郎について「生涯にかけて南蛮船の夢を持ち続けた人」であり、単なるエキゾチシズムではなく「世界史の視点から見る日本」「世界史のなかの日本」に関心があった人であると評され、野田が木下杢太郎に傾倒した理由がほんの少しだけ理解できたように思えました。
講演会に参加された皆さんは、井上先生のお話にうなずいたり、時には笑い声が漏れたりと有意義な時間を過ごされていたようです。
なお、企画展は2月16日(日)まで開催していますので、ぜひご来館ください。