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令和6年度企画展「野田宇太郎推し物語~すべては人生の師・木下杢太郎のために~」展示紹介

令和6年度企画展「野田宇太郎推し物語」展示紹介

現在、野田宇太郎文学資料館では企画展「野田宇太郎推し物語~すべては人生の師・木下杢太郎のために~」を開催しています。

 

この企画展の目玉展示品は複数ありますが、今回はその中でも最も古い時代に出版された本をご紹介します。

 

Gualtieri(グアルティエーリ)著

Relationi della venuta degli ambasciatori giaponesi』(『日本遣欧使者記』原著)

グワルチェリ『遣欧使者記(ヴェネチア版)』(1586年) (640x328).jpg

この本は、1585年にイタリアのベネチアで発行された報告書で、当時ローマを訪問した天正遣欧少年使節について書かれています。ローマ教皇の側近グアルティエーリが執筆しました。

 

1968年、野田はこの本を西武百貨店で行われた古本市で購入します。その理由を「木下杢太郎の記念のためなり」と、保管用の箱に墨書きしています。木下杢太郎はこの本を翻訳し、『日本遣欧使者記』(1927年 岩波書店)として出版しており、野田はその原本を手に入れる機会を逃さなかったようです。

古書店から買い取った際の金額は15万円、当時の大卒の初任給が約3万円でしたので非常に高い買い物といえるでしょう。

野田は1968年にヨーロッパ旅行をしましたが、その際にこの本と木下訳の『日本遣欧使者記』を持参しています。そして、バチカン市国で当時の枢機卿と謁見した際にはグアルティエーリの本にサインを貰ったというエピソードが残っています。

 

野田は、たくさんのキリシタン関係の本を所蔵していますが、キリシタンに興味を持ったきっかけは木下杢太郎でした。

『日本遣欧使者記』を読んで、キリシタン史や天正遣欧少年使節の旅に魅せられた野田は、『少年使節 天正遣欧使節旅行記』(1949年 桐書房)などを執筆しています。

 

1月19日(日)14時から今企画展2回目のギャラリートークを開催します。

ギャラリートークとは、資料館職員による展示品の紹介や見どころ等を聞きながら企画展を見てもらうイベントです。

予約等は不要です。どうぞ、野田宇太郎文学資料館までお出かけください。