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令和7年度企画展「写真で見る文学散歩 九州・沖縄編」展示品紹介

令和7年度企画展「写真で見る文学散歩 九州・沖縄編」展示品紹介

現在開催中の企画展「写真で見る文学散歩 九州・沖縄編」の展示をご紹介します。

今企画展では、九州・沖縄の8県+壱岐・対馬の合計9エリアに分け、それぞれのエリアに関して野田が文学散歩取材旅行で訪れた場所や文学散歩内に登場する人物の説明パネルを壁面に展示しました。さらに、パネル前の展示台では、そのエリアに関係のある本や雑誌などの紹介と野田が取材旅行時に撮影した写真を紹介しています。

 

展示室入口を入って正面の電照パネル(コルトン)前のステージケースには、今企画展の中心となった写真のネガアルバムと取材時の手帳を展示しています。

ステージケース.JPG

2025年814日現在展示しているネガフィルムのページと取材手帳のページは、共に昭和27(1952)12月4日です。

野田が島原半島のキリシタン関連遺跡を調査した時のもので、ネガアルバムの方には野田が「キリシタン マタレイナの墓」「原城址」「天草一揆」など書き込んでいます。

野田は昭和27(1952)年の九州文学散歩取材旅行の際には、この手帖日記と取材手帳の2冊に取材記録をびっしりと書き込んでいます。この手帖日記は1日あたりのスペースが6行しかなく、細かい字が並んでいます。是非、解読してみてください。

企画展で使用しているすべての写真は、野田が取材旅行中に撮った写真です。

展示している写真の大半は昭和27(1952)年と昭和28(1953)年のもので、現在展示している写真を何枚かご紹介いたします。

119-014-013福岡:北九州.福岡(S27.12.16)洞海湾(皿倉山より).JPG

この写真は、昭和27(1952)1216日に、北九州市の洞海湾を撮った写真です。当時は高度経済成長期の真っただ中であり、日本各地で工場排水や大気汚染が深刻化していた時代です。写真からも分かるように、「ばい煙の空」と呼ばれた北九州の大気汚染が分かる1枚です。

118-007-056佐賀:大川内(S27.11.29)大川内山の町並み.JPG

この写真は、昭和27(1952)1129日に撮影された佐賀県伊万里市の大川内山の町並みです。道路はまだアスファルト舗装されていない上に、荷物を運ぶために牛が使われていたことが写真から見て取れます。

118-009-012長崎:長崎(S27.12.03)原爆で倒壊した浦上天主堂.JPG

この写真は、昭和27(1952)123日に撮影された長崎県長崎市にある原爆投下により倒壊を免れた浦上天主堂の一部です。昭和34(1959)年に鉄筋コンクリート造りの天主堂が再建されたため現存していませんが、創建当初の浦上天主堂はレンガ造りでした。なお、被爆した側壁(再現造型)が、長崎原爆資料館に展示されています。

119-018-012熊本:熊本(S28.11.30)水害で荒れた北千段畑の漱石旧居.JPG

この写真は、昭和28(1953)1130日に熊本県熊本市北千反畑で撮られたものです。この写真に写っている家に、夏目漱石が熊本の五高の教員時代に住んでいました。夏目漱石は熊本滞在中に6度もの引越しをしています。写真の家は荒れ果てていますが、これは写真が撮られた昭和286月に起きた大水害によって被害を受けたためです。

119-004-008鹿児島:鹿児島(S27.12.11)鹿児島カテドラル・ザビエル記念聖堂・初代聖堂(S20.04.08戦火消失).JPG111-011-022鹿児島:鹿児島(S41.01.29)ザビエル滞鹿記念碑として再利用されたザビエル教会初代聖堂.JPG

こちら2枚の写真は鹿児島県鹿児島市のザビエル教会とザビエル公園のものです。左の写真は昭和27(1952)1211日に、右の写真は昭和41(1966)129日に撮影されました。ザビエル教会、正式名称「鹿児島カテドラル・ザビエル記念聖堂」は明治41(1908)年に献堂されましたが、昭和20(1945)48日に戦火により焼失しました。左の写真は、焼け残った初代聖堂の外壁部分です。現在、ザビエル教会に隣接するザビエル公園には滞鹿記念碑として初代聖堂が再利用されています。

120-007-003宮崎:小丸川(新しき村)(S28.12.04)新しき村へ行く際に乗ったトロ.JPG

この写真は、昭和28(1953)124日、宮崎県小丸川の新しき村へ行くために乗せてもらった営林署(現在の森林管理署)のトロッコです。目的地までの交通手段がなかった野田がお願いをして乗せてもらったと「九州文学散歩」には書かれています。乗る際には「生命の保証はしない」と言われたそうです。

120-011-011大分:臼杵(S28.12.10)臼杵石仏の仁王像.JPG

この写真も、昭和28(1953)1210日に撮影されたものです。場所は大分県臼杵市。臼杵の石仏群に含まれる仁王像(におうぞう)です。右には満月寺(まんがつじ)、左奥には宝篋印塔(ほうきょういんとう)と呼ばれる鎌倉時代後期の塔が見えます。現在では整備された場所ですが、当時は仁王像の前を荷車をひいた農家の人通っていたようですね。

126-002-002沖縄:那覇(S51.04.19)右側交通の時代.JPG

最後の1枚は、昭和51(1976)419日に撮影された写真です。沖縄県那覇市の通りを撮影したものですが、お気づきでしょうか?奥に向かって走っていく車は、道路の右側を走っています。第二次世界大戦終結後からアメリカ統治下となった沖縄県では、アメリカ本土と同じく右側通行とされました。沖縄の本土復帰は昭和47(1972)515日でしたが、復帰後もしばらくは右側通行が継続され、昭和53(1978)730日に左側通行になりました。野田は、まだ右側通行の沖縄県を訪れ、日本本土では見られない珍しい右側通行の風景を写真に収めたのだと思われます。

今回は野田撮影の9枚の写真をご覧いただきました。今後も定期的に写真パネルを交換する予定です。また、企画展では野田宇太郎が実際に取材旅行に使っていたカメラも展示しています。是非、野田宇太郎文学資料館へ足をお運びください。

【会 期】令和7年8月14日(木)~12月1日(月)

【時 間】10:00~18:00(金曜日は20:00)

【会 場】野田宇太郎文学資料館展示室(小郡市立図書館内)

【休館日】毎週水曜日

【入館料】無料

【詳細チラシ】令和7年度企画展「写真で見る文学散歩 九州沖縄編」チラシ.pdf (PDF:4999KB)

【関連イベント】

ギャラリートーク・・・当館職員による展示説明をおこないます

日 時 9月6日(土)・11月1日(土) 各回14:00~14:30
会 場 野田宇太郎文学資料館展示室
定 員 各5名程度(先着順・時間になりましたら展示室前にお越しください)

記念講演会

講 師 髙田杏子さん(北原白秋生家・記念館館長)

題 目 「北原白秋生誕140年 ~水郷(すいきょう)柳河(やながわ)を愛した詩人 北原白秋~」

日 時 10月11日(土) 13:30~15:30(13:00開場)
会 場 小郡市文化会館 小ホール
定 員 30名程度(要申込)
申 込 電話・図書館カウンター・メール(①名前②電話番号③年代④市町村名を記載のこと)

申込み・問合せ先

野田宇太郎文学資料館
電話:0942-72-7477 FAX:0942-72-3501 メール:ogoridokusyo@yahoo.co.jp