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常設展の展示替をしました ~「涼を求めて~信州文学散歩」~2016年7月

常設展の展示替をしました ~「涼を求めて~信州文学散歩」~2016年7月

7月5日(火)から常設展の一部を展示替しました。

今回は、いつもと少し趣向を変え、「涼を求めて~信州文学散歩~」というテーマで長野に関する本を集めました。

野田宇太郎は、文学散歩の取材で全国各地を訪れており、当然長野にも足を運んでいます。特に、詩人・小説家の島崎藤村(しまざき とうそん、1872~1943)の出身地馬籠(まごめ)もあり、強い思い入れがあったようです。(馬籠は2005年の越県合併により現在は岐阜県になっています。)

のぞきケースでは「長野と島崎藤村」特集として、野田宇太郎が所蔵していた、長野とゆかりのある島崎藤村の本を展示しています。そのなかから、当館の収蔵品としては珍しい「夜明け前」の公演パンフレットをご紹介します。

夜明け前パンフレット.JPG

島崎藤村原作「夜明け前」公演パンフレット 昭和39(1964)年

この舞台は、劇団民藝が上演したもので、東京、京都、名古屋、神戸など全国各地を回るものでした。『夜明け前』は、長野が舞台の藤村の長編小説です。第一部が昭和4(1929)年4月~7(1932)年1月まで、第二部が昭和7(1932)年4月~10(1935)年10月まで「中央公論」に連載されました。第二部連載中の昭和9(1934)年11月に新協劇団の旗揚公演の演目として選ばれ、その後、6年間で延べ116回も上演された作品です。

野田宇太郎は、この公演を見に行っており、パンフレットにはチケットの半券が挟まれたままでした。また、パンフレットの裏には、野田の字で日付が書き込まれています。

夜明け前パンフレット裏部分とチケット.JPG

「夜明け前」公演パンフレット裏とチケット

この舞台を見ながら、野田は藤村の故郷、馬籠へ想いを馳せていたことでしょう。

壁面展示コーナーでは、野田宇太郎が所蔵していた長野県のガイドブックなどを中心に、長野が舞台の小説などを展示しています。7月に入り、夏も本番となり、これからますます暑くなってきます。軽井沢や上高地などの有名な避暑地がある信州の文化に触れて、少しでも涼しい気分を味わっていただければ幸いです。

この展示は、8月13日(土)まで行っています。8月20日(土)からは、企画展「蒲原有明―近代詩の先駆者―」を開催します。ぜひ、野田宇太郎文学資料館へお越しください。ご来館お待ちしております。