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常設展の展示替をしました~「Love~月が綺麗ですね~」~2017年2月

テーマ展示「Love~月が綺麗ですね~」

 2月7日(火)から常設展の一部を展示替しました。 今回のテーマ展示は「Love~月が綺麗ですね~」です。
2月のバレンタインにちなんで、「愛」を題材にした本を集めました。

 夏目漱石は、英語教師時代に「I love you」を「月が綺麗ですね」と訳したと言われています。実は根拠となる資料はないそうですが、日本人の奥ゆかしさが感じられる名訳として、よく知られています。
 愛にも様々な形があります。古今東西、多くの作家が「愛」を言葉で表現しようと工夫してきました。小説はもちろん、詩歌、歴史、美術など、様々な分野で描かれた「愛」について、ご紹介します。

壁面展示.JPG(壁面展示スペースの様子)

 こちらの本は、のぞきケースで展示している二葉亭四迷(ふたばてい しめい、1864~1909)『片恋他六篇』(かたこいほかろくへん)です。二葉亭四迷が明治29(1896)年に発表したロシア文学の翻訳小説集です。

二葉亭四迷『片恋他六篇』.JPG (二葉亭四迷『片恋他六篇』)

 二葉亭四迷は、明治時代の小説家・ロシア文学の翻訳家です。明治20(1887)年から明治24(1891)年にかけて発表した小説『浮雲』は、言文一致体(日常会話に近い言葉を使った文章のこと。明治以前の文章は、漢文などの古典文体が主流でした)で書かれた写実主義小説として、後世に大きな影響を与えました。
この本に収載されているツルゲーネフ原作の「片恋」で、二葉亭四迷はヒロインの言葉「Ваша...」(直訳は「あなたのもの」)を「死んでも可(い)いわ...」と訳しています。江戸時代の戯作文学のひとつ「心中もの」を思わせる名訳として、有名です。
漱石の「月が綺麗ですね」と二葉亭の「死んでもいいわ」は、明治文豪の「愛」を表現する名訳として、よく一緒に紹介されています。

 中央展示コーナーでは野田宇太郎の直筆詩稿「歌」を展示しています。こちらも今回のテーマ「Love」にちなんで展示した作品です。ぜひ、展示室でご覧になってください。

 このテーマ展示は3月5日(日)まで開催しています。野田宇太郎文学資料館で、作家たちの「愛」の形に目を向けてみませんか。