メニューにジャンプ コンテンツにジャンプ

常設展の展示替をしました~「芥川龍之介~イメージの源流」~2017年6月

テーマ展示「芥川龍之介~イメージの源流」

2017年6月25日(日)より、常設展の一部が変わりました。

 今年は芥川龍之介没後90年にあたります。そこで「芥川龍之介~イメージの源流」と題して、中央ステージ、壁面展示スペース、のぞきケースで芥川龍之介に関する資料を展示しています。

 芥川龍之介(あくたがわ りゅうのすけ 1892~1927)は、東京出身の小説家です。東京帝国大学(現・東京大学)の学生時代、既に文壇の重鎮だった夏目漱石(なつめ そうせき 1867~1916)の門下生となり、人間のコンプレックスをテーマにした短編小説「鼻」でその才能を認められました。日本や中国の古典文学から題材をとった短編を多く発表し、王朝ものと呼ばれる「地獄変」「邪宗門(じゃしゅうもん)」や、キリシタンものと呼ばれる「奉教人(ほうきょうにん)の死 」「煙草(たばこ)と悪魔」などがあります。代表作として「羅生門(らしょうもん)」や「杜子春(とししゅん)」がよく知られています。

 今回は、芥川の作品について、作品の題材となった古典文学とともに展示しています。

IMG_2112.JPG

左:「赤い鳥 第1巻第1号」[大正7(1918)年7月 赤い鳥社] (復刻版)
右:『唐代伝奇』[平成14(2002)年 明治書院](小郡市立図書館所蔵)

『唐代伝奇(とうだいでんき)』は8世紀頃の中国で書かれた創作小説集です。芥川は、この本に収載された「杜子春伝」から題材をとって「杜子春」を執筆し、児童雑誌「赤い鳥」に発表しました。

 晩年になると、病気や生活上のトラブルなどに苦しみます。心身ともに衰弱した影響もあって、自身の人生をモデルにした私小説「点鬼簿(てんきぼ)」や人間社会を批判した「河童(かっぱ)」など、人間の生死や精神に関する作品を多く発表するようになっていきます。やがて芥川は、昭和2(1927)年7月24日、多量の睡眠薬を飲んで自殺します。35歳という若さでした。

IMG_2110.JPG

芥川龍之介『或阿呆の一生』[昭和17(1942)年 岩波書店]

 こちらは野田宇太郎が所蔵していた本です。「或阿呆(あるあほう)の一生」は芥川の自伝的小説で、主人公が自殺を決意するまでの精神状態が淡々と書かれています。芥川の自殺後に原稿が発見され、遺稿として発表されました。

 35年という短い人生の中で、今なお人々を魅了する作品を書いた芥川龍之介。その源流ともいえる古典文学と共に紹介しています。今回はいつもより長く、このテーマ展示は8月20日(日)までです。途中、一部展示替も予定しています。野田宇太郎文学資料館へどうぞお越しください。ご来館をお待ちしています。