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常設展の展示替をしました~【野田宇太郎からの年賀状】~2025年12月・2026年1月

2025年1211日に常設展の展示替を行いました。

 

年末の大掃除やお正月の準備などは順調に進んでいますか?

今回のテーマ展示は、年末も押し迫った12月ということで「野田宇太郎からの年賀状~明治の東京冬景色を添えて~」としました。

野田宇太郎と親交のあった福岡在住の詩人へ宛てた年賀状を中心に、ハガキ+関連書籍を見ていただけるような展示をしています。

また、野田が研究を行っていた明治期の文学に大きな影響を与えた存在である浮世絵師・小林清親の作品も展示しました。冬の寒い季節に合わせ、清親の作品の中でも明治時代の東京の冬を表現したものを中心に選んで飾りました。

最後の浮世絵師といわれ、光線画という清親独特な表現で描かれた江戸時代の風情と新しい西洋文化が入り混じった明治の東京をどうぞ堪能してください。

 

・ステージケース(資料館展示室正面)

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【野田宇太郎からの年賀状】

野田宇太郎が福岡在住の詩人に出した年賀状を展示しています。

昭和41(1966)年、昭和45(1970)年、昭和53(1978)年、昭和57(1982)年、そして、野田が死去する昭和59(1984)年の5枚です。

印刷された年賀状が多いですが、昭和45年のものはすべて自筆です。何かしら(印刷した年賀状が足りなかったとか?)の理由があったのかも知れませんね。

また、昭和59年の年賀状には「新設の県立小郡高校の校歌を依頼されてこの秋、松崎と共に訪れました」とあります。折に触れて東京から故郷松崎に帰っていた野田らしい一文だと思います。

・のぞきケース(電照パネル裏)

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【野田宇太郎ハガキ(1973/08/14消印)】

こちらには、野田が福岡の詩人に送ったハガキとその内容に出てきた本を一緒に展示しています。

昭和25(1950)年、昭和48(1973)年、昭和56(1981)年の3枚のハガキと、ハガキの内容をPCで打ち直したパネル、そして、ハガキの内容に出てくる書籍を並べて展示しています。

昭和25年のハガキに書かれている「瀧口智先生」(正式には滝口智)とは、野田宇太郎が旧制朝倉中学校在学中にお世話になった先生です。是非、常設パネル(文学へのめざめ)と共にご覧ください。

昭和48年、昭和56年のハガキには、詩人から野田へ贈られた詩集へのお礼とその感想が書かれています。

ハガキの中身には滝口先生・松崎への墓参りの予定・桜馬場の話など、松崎に関連する話が必ず入っており、故郷への野田宇太郎の愛が伝わります。

・壁面

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【小林清親浮世絵(東京の冬景色を中心に)】

明治時代の近代文学に深い興味を持っていた野田は、昭和36(1961)年に『瓦斯燈文藝考』を出版しています。その中で、文学にも多大な影響を与えたものとして錦絵(多色で刷られた精巧な木版画のこと。浮世絵の技法のひとつ)版画のことが書かれています。特に小林清親に関しては、「文明開化期のもつとも優れた版画家」とあります。野田宇太郎文学資料館収蔵品の中にも清親の作品が残されています。

小林清親は西洋画の技法を駆使し、新たな感覚で東京の風景を表現し、圧倒的な支持で人々に受け入れられた浮世絵師です。最後の浮世絵師といわれ、光線画という清親独特な表現で描かれた江戸時代の風情と新しい西洋文化が入り混じった明治の東京の冬景色をご堪能ください。

 

【2025.12.13 T】