野田宇太郎没後40年事業 坂口博さん講演会「野田宇太郎と火野葦平」(2025年3月30日)
福岡県出身の野田(1909年小郡市松崎生まれ)と火野葦平(1906年北九州市若松生まれ)は歳も近く、同じ時期に福岡で文学活動に励みました。
今回は2024年の野田宇太郎没後40年事業の締めくくりとして、火野葦平資料の会・会長の坂口博さんにふたりの「交友」を中心に、野田と丸山豊、葦平と中山省三郎の「詩人」としての側面についてお話しいただきました。
講師の坂口博さん
講師の坂口さんは1953年佐賀県出身で、創言社編集長などを経て現在は火野葦平や「サークル村」関係などの文学研究と文学館活動をされています。
当館でも野田宇太郎文学資料館のブックレット等で大変お世話になっている方です。
講演は、野田・丸山・葦平・中山は全員早稲田大学出身だというエピソードから始まりました。
葦平と中山は同学年で大親友となりましたが、野田・丸山は在校時期が違うので交流はなかったようです。
卒業後は、葦平の「糞尿譚」の芥川賞受賞に野田が一役買ったり、野田が「文藝」の編集長になった際に葦平を編集顧問として置いたり、葦平の著書を野田が編集・出版したりと、野田と葦平がお互いの仕事を信頼する関係であったことが紹介されました。
また、親友の中山省三郎が44歳で病死した際、葦平はその死に直面することができず葬儀を欠席、その代わりに野田が葬儀を執り行ったというエピソードも紹介され、3人の関係性を窺い知ることができました。
坂口さんの朗読に聞き入る参加者たち
後半は、翻訳家で詩人の中山省三郎、編集者で詩人の野田宇太郎、医師で詩人の丸山豊、それぞれの詩を朗読したあと、葦平と丸山豊の関係について語られました。
丸山の葦平追悼文からも読み取れる丸山の葦平に対する複雑な感情について、坂口さんの考察に参加者の皆さん真剣に聞き入っていました。
ここでしか聞けない話も多く、参加者アンケートの結果からも皆さん大満足の講演会だったようです。
【2025.4.10 H】
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講演会詳細
演題:「野田宇太郎と火野葦平」
講師:坂口博さん(火野葦平資料の会 会長)
日時:2025年3月30日(日)14時30分~16時00分
場所:松崎公民館(〒838-0122 福岡県小郡市松崎704-4)
チラシ:坂口博さん講演会「野田宇太郎と火野葦平」 (PDF:3090KB)
記念品:河伯洞記念誌 「あしへい」のバックナンバー、葦平忌記念絵はがき